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〈ライフスタイル〉 枕で変わる睡眠と健康 医学博士 山田朱織さん 2018年7月13日



 生活の質を高める良質な睡眠のカギとなる「枕」。正しい睡眠姿勢を保つ枕に変えたことで、頭痛、肩凝り、腰痛をはじめ、自律神経症状や、睡眠時の無呼吸、いびきなどが改善されたという研究データも。日本で初めて「枕外来」を開設し、6万人以上を診察してきた、医学博士の山田朱織さんに「正しい枕」について聞きました。

自律神経や無呼吸にも影響が

 ■枕研究を始めたきっかけは?

 父が整形外科医で、専門分野が「首」でした。私は学校から帰るとクリニックで過ごすのが好きな子どもで、同じ道に進もうと早くから決めていました。
 保存療法の中で父は枕を使った治療法を確立していましたが、論文は書かなかったんですね。代替わりした私は、整形外科の先生方に治療として認知してもらえるよう、患者さんのデータを取ったり、さまざまな大学と共同研究を行ったり、アカデミックな方法を選びました。
 痛みやつらさに悩む全国の患者さんに、身近な枕にも治す力があることを知ってもらいたい、という思いから研究を始め、2003年から15年。今では約600人の整形外科医、20人以上の教授、准教授らが、私が開発した枕を使ってくださり、全国に提携病院ができました。
  
 ■自分に合った枕を使うとどんな効果が期待できますか?

 やはり首と胸と腰――脊椎に関わる病気が、枕を変えることで楽になるケースが多いです。例えば頭痛、肩凝り、腰痛。注射や薬を使わなくても、生活の基本を見直せば7割以上が良くなるというデータもあります。
 当院に来る患者さんは慢性化している方も多く、ただ単に首が痛いんじゃなくて、自律神経症状を合併していたりします。眠れない、動悸がする、おなかが痛い、便秘や下痢などの胃腸症状、めまい、あっちこっち痛いなど。そういう方も、東京大学医学部付属病院22世紀医療センター、倉敷成人病センター、東京工科大学との共同研究の結果、枕を変えることで早い方では2週間で症状が改善されました(症状例別表)。
  
 ■他に研究で分かったことはありますか?

 今、研究しているのが、睡眠時無呼吸といびきです。当院には肩凝りの症状で来られて、その治療をしていたら「先生、いびきが良くなったんです」と。また夜中に無呼吸で、心配する奥さんから「起きて!」と言われていた方も「起こされなくなった」と喜んでいる。これも世田谷睡眠呼吸センターと共同研究を行い、一定量の良い結果が出ました。これからまた、福岡大学医学部の衛生・公衆衛生学教室と新しい研究を行う予定です。
 無呼吸の背景には、実は大きなリスクがあるんです。高血圧、糖尿病、がんなどは、無呼吸によって悪化することが分かってきました。一方で、無呼吸を改善し深い睡眠を得ることで血圧を安定させたり、がんの免疫力を上げたりするんじゃないか、と。まだ証明されきっていませんが、良い結果は出ています。

生活の質を高め人生を変えよう

 ■良質な睡眠をとるための、正しい枕の条件とは?

 私が考える必須条件は、次の三つです。
 ①ジャストサイズの高さ……上向きに寝た時に首の角度が約15度で、息の通りが楽なこと。同時に、横向きでは額、鼻、胸の中央のラインが床と平行であること。
 ②コロコロ転がれる硬さと平らな構造……寝返りが楽にできること。そのためには頭が沈み込まない硬さが必要。首を安定させたまま左右に寝返りを打つには、真っ平らが理想です。
 ③体に応じたメンテナンス……体型の変化や加齢による骨格の変化で、適切な高さは変わってきます。常に体の変化に気を配りながら調整を。
 以上のお話をすると「私は軟らかいふかふかな羽毛枕が好き」とか、好みやこだわりを捨てきれない方がいますが、人間が使う道具には好みで選んでいいものと、そうじゃないものがあります。好みを優先して軟らかい枕にすれば、夜中にぐらぐらと首が不安定になり、神経が挟まれて、痛みや凝り、しびれの原因にもなりかねません。そば殻やプラスチックチップの枕も、頭が沈み込み過ぎると、寝返りの動きを妨げます。
 「なかなか合う枕が無い」という方に、当院で指導している「玄関マット枕」の作り方をご紹介します(別枠)。人間工学で体に接触する体具の3構造は、表面のソフト層、次に支持層、一番下がクッション層。玄関マットは支持層になります。
 最初は硬く感じても、高さがきちっと合うとぐっすり眠れるので大丈夫です。患者さんで「こんな硬い枕、使えないわ」と最初に言われていた方が、段々慣れてくると「もっと硬くしてください」と言われることも。高さが合うと神経が楽になるので、硬さは気にならなくなります。
  
 ■寝苦しい夏へのアドバイスを。

 寝苦しいと感じるのは、眠りが浅いから。夜中にトイレに2~3回行く人が、枕など環境を変えてぐっすり眠れるようになると行かなくなることもあります。そういう場合、実はトイレに行きたくて起きるのではなく、眠りが浅いから目が覚めて、その結果トイレに行くのが習慣になっていたんです。
 枕以外の寝具で注意してほしいのは、タオルケット。寝返りを打っているうちに体にくるくる巻き付いて背中に敷いていたりすると、背骨に負担が。薄い羽毛布団など体にまとわりつかないものがオススメです。
 あとは肩凝りや腰痛によくないので、クーラーで冷え過ぎないようにしてください。
  
 ■読者にメッセージを。
 
 何年か前からアメリカでは「ウェイクアップ・アメリカ」のスローガンで、睡眠時無呼吸や睡眠障害による経済的損失(十分働ける人が働けない問題)に取り組んでいますが、今、日本でも「ウェイクアップ・ジャパン」で、眠りを良くしようという動きが始まっています。
 睡眠はまだまだ未解明なことも多いですが、24時間のうち起きて活動している4分の3の時間と同等、もしくはそれ以上に大事だといわれています。心身の健康のため、思い通りの人生を生きるためにも、睡眠の質について見直すきっかけになればうれしく思います。

枕調節による症状の改善例

 ●うつ状態・睡眠障害・強い疲労感
 ●頭痛
 ●めまい・耳鳴り
 ●息苦しさ・動悸
 ●下痢・便秘・吐き気を含む胃腸の不調
 ●肩凝り
 ●あちこちの筋肉痛・
  手足のしびれ
 ●腰痛・背中のはり
 (16号整形外科他共同研究資料から)

玄関マット枕の作り方

 用意するもの……玄関マット1枚(90センチ×60センチ程度。毛足が短く裏地のついた厚さ1~1.5センチのもの)、大きめのタオルケット1枚、調整用予備としてスポーツタオルやフェースタオル複数枚。

 ①玄関マットをZ型に三つ折りする。
 ②タオルケットを縦長に二つ折り、横に二つ折りし、さらにZ型に三つ折りして玄関マットの上にのせる。
 ★後で高さを調節するので、タオルケットは1枚ずつめくれる方を首側に!
 ③首に当たるところは直角に重ねる。
 ④タオルを1枚ずつめくり(または予備のタオルを足し)調整する。

タオルケットの調整の仕方

 いつも使っている寝具の上で行います。
 
 ①横向きに寝て、両手は胸の辺りでクロスする。この時、額、鼻、胸の中央のラインが真っすぐ床と平行になるよう調整を。5ミリ単位でも違ってきます。
 ★家族に見てもらうか、1人で行う場合は鏡を使って確認を。
 ②あおむけに寝てみて、息の通りが楽で、喉や首筋に圧迫感がないように。理想は首の角度15度。
 ③手をクロスしたまま左右に転がり、寝返りが楽にできるか確認。
 ★以上を繰り返し高さを決めます。使うとズレるので毎晩寝る前にチェックしましょう。

補足

 ※調整後カバーをしたい方は、高さが変わらないよう薄めのカバーをしてください。
 ※裁縫が得意な方は、固定するため四隅を縫い付ける方もいます。

注意事項

 ○翌日、体に痛みを感じた場合は中断してください。軽い痛みなら、調整し直すと大丈夫な場合もあります。
 ○高齢者で背中が丸まっている方は、調整が難しいので行わないでください。

 やまだ・しゅおり 16号整形外科 院長。医学博士。株式会社山田朱織枕研究所 代表取締役社長。マクラエバンジェリスト。東京女子医科大学卒業。同大学整形外科教室や実家である成瀬整形外科を経て現職。2003年より整形外科枕の研究開発に着手。日本で初めて「枕外来」を開設。大学病院や睡眠センターと共同で頸椎疾患、睡眠時無呼吸症候群など特殊疾患の枕と睡眠の研究開発を行う。「世界一受けたい授業」などテレビ出演や著書多数。

ご感想をお寄せください life@seikyo-np.jp

【編集・イラスト】加藤瑞子 【写真】石川大樹 【レイアウト】本橋正俊

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