〈西日本豪雨〉 支え合う被災地の友 岡山 2018年7月14日


家族・同志・地域の絆で立ち上がる
真備町の有井地域。小田川の支流・末政川が決壊し、すさまじい濁流が地域一帯をのみ込んだ。ある住民は自宅2階に逃げたが、足下に迫る濁流に死の恐怖を感じたと語った
真備町の有井地域。小田川の支流・末政川が決壊し、すさまじい濁流が地域一帯をのみ込んだ。ある住民は自宅2階に逃げたが、足下に迫る濁流に死の恐怖を感じたと語った

 今回の西日本豪雨で、岡山・倉敷市真備町一帯は、甚大な浸水被害に見舞われた。
 10日午前、ようやく泥水が引いた真備町へ向かった。倉敷市内から同町へ通じる道は、南側から架かる橋が絶たれていたため、北側から山を越えて被災地に入った。
 まるで町中が、砂漠地帯のようだった。
 停電した信号機、折れ曲がった標識、散乱したがれき、横転した車、泥まみれの家屋が眼前にある。車を降りると悪臭が鼻を突いた。連日30度を超す猛暑。それにより乾いた汚泥が砂塵となって舞い上がる。一面茶色の世界が広がっていた。
 決壊した小田川と高梁川が合流する付近の川辺地域。この地に暮らす石井文隆さん(副圏長、本部長)は発災以来、自宅の片付けより同志の激励に奔走している。
 「大丈夫だろう」と思っていた6日午後11時半すぎ。突然「ドーン」という爆発音と地震のような強い揺れが起きた。近くのアルミ工場の爆発だった。爆風で民家や避難所となった小学校の窓ガラスが割れるなどした。
 「ただ事じゃない」と車を走らせた。避難所はすでに人であふれかえっていたため、高台の吉備路クリーンセンターに避難した。
 翌朝、高台から眼下に広がる町並みは驚きの光景だった。「海みたいじゃ」。不安になった石井さんは、電話で安否確認を始めた。「今は大丈夫じゃけど、もう逃げれんわ」「2階のベランダで救助を待っとる」。必死の声をいくつも聞いた。石井さんも電話で必死に励まし、祈った。救出の知らせが届くたびに胸をなで下ろした。
 自宅に帰ると2階まで水没。全壊だった。日を追うごとに被害の大きさが明らかになっていく。それとともに被災者の体力も気力も落ちていく。そんな被災者に寄り添い、励ましを送っている。
 「私も被災したから同苦できる。つらさが心の底から分かる。だから被災者を励ます使命が私にはある。そう強く確信しています」
 ◇ 
 福武陽子さん(地区副婦人部長、白ゆり長)と長女の美咲さん(女子部員)も6日夜、工場の爆発音を聞いて恐ろしくなり、避難した高台で石井さんらと再会した。
 陽子さんらが避難した後、深夜に仕事から帰宅した長男・晃行さん(男子部員)は自宅1階で就寝。ところが友人の電話で起こされた。家の中まで泥水が入っているのを見て慌てて2階へ。晃行さんはスマートフォンで逐一、陽子さんに浸水被害の状況を伝えた。死を覚悟したのか遺書のような言葉も送ってきた。陽子さんは「あきらめたらダメ」「お題目を唱えて」と何度も励ました。
 母娘して車中で長男、それに連絡のついていない陽子さんの両親の無事を必死に祈り続けた。
 7日の夕方、晃行さんは救出された。その後、両親も無事に救出されたとの情報が入った。
 自宅を広布の会場に提供して17年。これまで本部幹部会のインターネット中継の会場として真備本部の同志が集い来た。被災したわが家を見つめながら、陽子さんは「ああ守られたんだなって思うと涙が出てきます……」と声をつまらせた。
 10日、地域の同志や友人らが汗だくになりながら、泥まみれの畳や家財を運び出してくれた。「家族・同志・地域の絆のありがたさを心から感じます」
 ◇ 
 高梁川の氾濫により、総社市日羽の一部地域も水没した。ここには二十数世帯のうち、3世帯の学会員が住んでいた。
 「まさかこんなになるとは夢にも思わなかった」と槙野浩二さん(副支部長)・一美さん(支部副婦人部長、地区婦人部長)夫妻は驚きを語った。6日夜、避難指示を知った一美さんは、近所の住民と声を掛け合い、近くの特別養護老人ホームに避難した。車を立体駐車場の2階に止め、1階へ降りたら、もうひざの辺りまで泥水が来ていた。急いで建物の中へ飛び込んだ。浩二さんは市内の病院にいて無事だった。
 辺りは停電で真っ暗闇。しかし川の濁流が道路を越え、一段高いJR伯備線の線路も越えて押し寄せてくるのが見えた。「大丈夫」と皆で励まし合った。その夜は床に2時間ほど横になっただけ。翌朝になっても泥水は引いていなかったが、命が助かったことに感謝した。ほかの2世帯の学会員も避難して無事だと確認ができた。
 「聖教新聞に掲載される池田先生の一言一言が胸に響きます。私たちが、この信心で立ち上がる姿を皆さんに見てもらいます」。夫妻は再起を誓った。

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